ヒトパピローマウイルス(HPV)は、性的接触のある女性であれば50%~80%の方が生涯で一度は感染するとされている一般的なウイルスです。子宮頸がんをはじめ、肛門がん、膣がんなどのがんや、尖圭コンジローマ等、多くの病気の発生に関わっています。特に、近年若い女性の子宮頸がん罹患が増えています。
HPV感染症を防ぐワクチン(HPVワクチン)は、小学校6年~高校1年相当の女子を対象に、定期接種が行われています。
子宮頸がんワクチン
子宮頸がんは予防ができるがんです
子宮頸がんとは
子宮頸がんは、性交渉により子宮の入り口(子宮頸部)にヒトパピローマウイルス(HPV)が感染することでできるがんです。日本国内だけでも子宮頸がんの発症数は、年間約10,000人、死亡者数は年間約3,000人、患者数・死亡数ともに増加傾向にあります。
その中でも、出産適齢期とも重なる20〜40歳代の方の罹患が増加しています。子宮頸がんになると、大きな手術や放射線・化学療法が必要となったり、その後妊娠・出産を断念することになったり、放置をすると死に至ることもある深刻な疾患です。
先進諸国ではHPVワクチン接種率の上昇とともに、子宮頸がん罹患率・死亡率ともに減少してきているのに対し、日本での子宮頸がん増加は、HPVワクチン接種率の低さ・子宮頸がん検診受診率の低さが影響していると考えられています。
子宮頸がんの95%以上は、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が原因です。HPVは性的接触で感染します。HPVはありふれたウイルスで、性交渉経験のある女性の84.6%が一生に一度は感染するともいわれています。HPVは感染しても、自覚症状がないまま進行するという特徴があります。
HPVには200種類以上の「型」があり、がんとの関連性から高リスク型と低リスク型の2種類に分類されるようになりました。HPVに感染しても、必ずがんになるというわけではなく、多くはご自身の免疫でウイルスが排除されますが、一部のウイルスが持続感染すると前癌病変につながり、数年から十数年かけて子宮頸がんへと進行していきます。
HPVワクチンとは
HPVワクチンには2価、4価、9価の3種類があります。
9価ワクチンは、日本では2021年2月に接種可能となり、2023年4月から公費対象となりました。
HPVワクチンは世界130か国以上で承認され、約110か国で公費による接種が行われています。
キャッチアップ接種について
平成9年度生まれ~平成19年度生まれ(誕生日が1997年4月2日~2008年4月1日)の女性の中に、通常のヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの定期接種の対象年齢(小学校6年から高校1年相当)の間に接種を逃した方がいらっしゃいます。
積極的な接種勧奨差し控えのために接種機会を逃した方のため、2022年4月からキャッチアップ接種が行われています。
接種の対象となる方
次の2つを満たす方が対象となります。
・平成9年度生まれ~平成19年度生まれ(誕生日が1997年4月2日~2008年4月1日)の女性(※1)
・過去にHPVワクチンの接種を合計3回受けていない(※2)
※1)令和6年4月からは、平成19年度生まれ(誕生日が2007年4月2日~2008年4月1日)の方もキャッチアップ接種の対象になります。
※2)過去に接種したワクチンの情報(ワクチンの種類や接種時期)については、母子健康手帳や予防接種済証等でご確認ください。
接種が受けられる時期
接種の対象に該当する方は、令和4(2022)年4月~令和7(2025)年3月の3年間、HPVワクチンを公費で接種できます。